偶然の奇跡
先日、押し入れの整理をしていました。
すると20数年前に頂いた封書をみつけました。
それは、私の新婚旅行のツアーの写真でした。
同じツアーのご夫妻が私たちの写真を撮って送って下ったものでした。
そのツアーは、「ローマ・フィレンツェ・ミラノ」の3都市と巡るイタリア・ツアーでした。
また、バブル時期のなごりが残る良い時代でした。
ローマでは、バチカン市国も見学しました。
どの都市も素晴らしく、パスタ・ピザ・ブイアヴェース・ボーンステーキ等など、
どれも美味しい料理ばかりでした。
ツアーのすぐ後にその中のご夫妻の奥様から、
私たち夫婦の写真を送って下さいました。
ご夫妻は、その頃は私たちよりも一回り以上も上の方で、
誰が見ても素晴らしいご夫婦でした。
長時間の飛行機内での旅の疲れのせいか
奥様は待合室で
旦那様に寄りかかり
お二人で座っていらっしゃいました
その光景は今も鮮明に残っています。
最愛の旦那様に心ごとお預けになっていらっしゃる
女性的でとっても魅力的な奥様。
鮮やかな薔薇のような女性でした。
それを静かに優しく受け止める旦那様。
そこには、誰もが入り込むことのできない
『愛』に満ち溢れていました。
「あのようなご夫婦もいるのだ・・・」
私は憧れと同時に
自分には得ることのできないものである事が
なんとなくわかりました。
9月のお彼岸の前あたりに
友人が「家の中を整理すると気持ちいいよね」との言葉を思い出し
押し入れのふすまをあけると
写真集がありました。
それは、私の結婚式の写真でした。
私のブルーとグリーンのグラデーションのドレス姿も美しい。
また、参列して下さった方々もお若い。
懐かしく眺めていました。
すると、次にひよっこり
あの「イタリア」での旅行のお写真を送って下さった封筒が出てきました。
お手紙も戴いたき写真も5枚位入っていたと記憶しているのですが。
その封筒には、
「ローマ」でのボーンステーキを食べたレストランの写真が一枚だけ入っていました。
いつも、お二人のことは心の中奥底にはあったけれど、
まだ、持っていたとは。。。
何度も引っ越しをしたのに、なぜ、今見つけたのだろう?
不思議なものだと思い、
その差出人の奥様にお手紙を差し上げました。
すると、そのお返事には、
主人はあの「イタリア」ツアーのあと、NYなどへの仕事や商談が多く、
「いつか世界旅行に行こうね」と言っていたのに、そのツアーの数か月後に
50代半ばでご逝去されたとの事でした。
驚きと共に、涙があふれてきました。
奥様も、私の手紙を読んだ時に、
あの時の頃にフラッシュバックなさり、
涙が止まらなくなったとのことでした。
このような偶然はあるのでしょうか。
本当に理想的で素敵なご夫妻でしたのに。
私は、そのイタリア旅行の後も、
時折、あの素晴らしいご夫妻の事を考えていました。
それだけ、記憶の奥底に残っていたほど、
素敵な絵画のようなご夫婦でした。
ご主人な亡くなり、20数年が経つ今は、
息子さんご夫婦と一緒に暮らされているとの事でした。
お手紙には、奥様のパティオを奥様ご自身のお写真が同封されていました。
そのお写真の奥様は薔薇の花中でも
花びらの柔らかな
深紅でもピンクでない
「イングリッシュローズ」のような印象でした。
柔らかな感じになられました。
私には、あのご主人が天国で
「イタリア旅行」を懐かしがっていらっしゃるように思えました。
それで、ひょっこり、私の引き出しの中から、
当時のローマの写真が出てきて、
私に奥様へのお手紙を書かせたのではないでしょうか。
もしかして、そのイタリア旅行は、
ご夫妻の最後の海外旅行ではなかったのではないでしょうか。
私は白とグリーンのフラワーアレンジメントにカードを添えて、
奥様にお送りしました。
あの「イタリア旅行」から、
時は経ち、皆それぞれの人生を歩いていたのです。
しかし、また、あの頃に引き戻されました。
心とは、どこかで繋がっている。
そう思える出来事にでした。
きっと天国にいるご主人様が
私をとおしてメッセージを下さったのでしょう。
『あの時行ったイタリアは良かったね』と
私の最愛の妻に伝えてくださいと。
私は、なんのためらいもなく、
messenger としてのお役目を果たそうと思いました。
天国の旦那さまは、
「今もずっと奥様を見続けているから、
安心して現世での生活を楽しんで下さい」と、
私に言葉・文として伝えて欲しいのだと。
星の契り イングリッシュローズを君に
林 芙美
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