この世を去る時
11月美しい霧雨の降る日に姑が亡くなった。
彼女の死に顔は、美しかった。
生前の、気の強さなど微塵にも見られなかった。
安らかで静かな美しい顔であった。
姑は本来穏やかな人で会った事が
その時わかった。
死に直面して、
始めてその人の生き様をみるようだ。
横たわった、頭から足先までが、その人の人生のようだ。
彼女は、施設のスタッフからも慕われ、
沢山の方々が涙ながらに部屋を訪れ
最後のお別れをしてくれた。
その遺体を乗せた車が施設を去る時には、
施設長をはじめ、全員が玄関で見送ってくれた。
まるで、社葬でもあるかのようであった。
死して、その人の尊さ・人柄がわかるものだ。
彼女の死は、ずっと美しい霧雨に見守られていた。
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